皮膜表面で無秩序、無方向に割れる現象。
crack,crazing
引用元:JIS 金属表面処理 2023
めっき皮膜の表面にできる裂け目、またはその発生現象のことを指す。
割れは、外観を損なうだけでなく、耐食性や耐摩耗性などの
機能も低下させるため、大きな問題となる。
発生原因
・熱応力:めっき皮膜と基材の熱膨張係数の違いによって生じる応力。
加熱や冷却の際に、めっき皮膜と基材がそれぞれ異なる速度で
膨張・収縮するため、互いに引っ張り合い、割れが発生する。
・水素脆化:めっき皮膜中に水素が侵入し、基材の脆性を増加
させる現象。水素は、めっき溶液中の水分や有機物、酸洗工程で
発生する水素などから発生する。
・ 残留応力:めっき前の加工や溶接などによって生じる応力。
残留応力は、めっき皮膜にさらに負荷をかけ、割れを発生しやすくする。
対策
・めっき皮膜の厚さを調整する:めっき皮膜が厚すぎると、
熱応力や水素脆化の影響を受けやすくなる。そのため、必要な厚さに
抑えることが重要。
・めっき後の熱処理を行う:めっき後に焼きなましやサブゼロ処理
などの熱処理を行うことで、残留応力を除去し、割れを抑制することができる。
・めっき前の洗浄を徹底する:めっき溶液に混入する不純物は、
水素脆化の原因となる。そのため、めっき前の洗浄を徹底し、
不純物をできる限り除去することが重要。
・めっき溶液を管理する:めっき溶液の温度、pH、濃度などを適切に
管理することで、めっき皮膜の品質を安定させ、割れを抑制することが
できる。
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