鉄系焼結金属に亜鉛メッキをしたが白い粉状の腐食が発生してしまった原因は?
焼結合金は金属粉末を所定の形状に圧縮成形し、金属粉の
融点以下の温度に加熱し焼き固めて作られた金属製品を
いいます。
従って、製品に沢山の穴が空いているために、メッキ処理
する場合に穴に処理液に染みこみ、メッキ後に染み出して
きてシミや変色、膨れ、腐食などを発生しやすく、メッキが
やり難い素材の一つです。
また、素材の表面粗さが粗いために、メッキ金属の析出が
粗雑になるとともに、ピンホールなどの欠陥が生じやすい
です。
鉄系焼結金属部品の亜鉛メッキの白い粉状の腐食の発生は、
焼結合金の穴と表面の粗さが誘発した腐食と考えられます。
従って、対策としては、素材側からのメッキ性の改善と
メッキ工程側からの工夫の両面が必要です。
具体的な手法を以下に記載します。
(1)焼結合金の穴を塞ぐ方法
①含浸処理を行って穴を塞ぐ方法。
含浸液としては、無機系ではけい酸ナトリウム(水ガラス)系、
樹脂系では不飽和ポリエステル樹脂系やアクリルエステル樹脂
(嫌気性樹脂)系、金属系などが用いられ、単なる浸漬や真空ー
加圧して含浸する方法がある。別個の処理になり工程数が増えて、
価格が高い欠点がある。
②ショットピーニング、バフ研磨、研削などにより機械的な目潰し
によって穴を塞ぐ方法。
③圧粉、焼結技術の改善など。
含浸処理や機械的な目潰しによって穴を塞ぐ方法は、
メッキ工程での工夫に比べ表面の粗さが調整されるため
メッキ皮膜の緻密性が増し、皮膜欠陥が少なくなると
考えれる。
(2)メッキ工程での工夫
①メッキ処理前の一番最初に湯に浸漬し、多孔質の穴に
あらかじめ影響の少ない水を満たしておき、次工程以降
での処理液と穴の中の水を交換させぬようにしておく方法
が効果がある。
この手法は、焼結金属以外の鋳物品など表面欠陥の多い
素材の処理方法としても効果がある。
②メッキ工程間及びメッキ後の洗浄に、温水洗いと通常の
水洗との繰り返しや、超音波洗浄を併用するなど効果が
ある。
③亜鉛メッキは酸性の亜鉛メッキを使用し、酸性浴に適し
たクロメート処理を行う。
なお耐食性の確認は中性塩水噴霧試験にて実施してください。
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