ステンレスの不動態化前の酸洗いに違いはあるのか?
下記にて文献からの抜粋した内容を記載します。
ステンレススチール鋼の酸洗いまたはスケール除去に
対しては、一般に次のような処方が用いられている。
① 塩酸 100ml
硫酸 100ml 温度 54〜60℃
水 800ml
または
硫酸 40〜50ml 温度 80℃
②スケールの除去
塩酸 500ml 温度80℃
硝酸 100ml
硫酸 1400ml
または
硝酸 200ml 温度 50〜65℃
フッ化水素酸 300ml
水 500ml
作業時間は存在するスケールの性質と量によって決まる
もので、極めて少量のスケールであればその除去は数分
で十分であるが、ステンレス鋼管にてスケールが管の
つなぎ目に沿って生成しているような場合は、管の他の
面で腐食がおこる可能性があるので、スケール除去では
つなぎ目に沿ってブラッシングを行うことを考える必要
がある。
次に不動態化であるが、300系ステンレスの部品について
は不動態化をなすと塩水噴霧や高湿度試験に合格すること
は問題ないが、303合金ステンレスの不動態化の時、45%
硝酸に室温で浸漬すると部品は直ちに灰褐色に変化し、
商品と溶液から硫黄の臭いがでる。
これは、機械加工性を改良するために303合金ステンレス
には硫黄を添加してあるためで、硝酸に重クロム酸塩を
添加し、硝酸の濃度を低くすると変色は減少する可能性が
ある。また、不動態化の前後には十分水洗することが
重要である。
416合金ステンレスの不動態化には70〜140℃で38〜48%
(容量)硝酸と2〜3%(重量)重クロム酸ナトリウムを
含んだ液にて処理する。この場合も塩水噴霧や高湿度試
験の合格は問題ないが、バスケット、ラック、ワイヤー等
で多くの部品を接近しすぎる状態で処理すると激しく
エッチングして、部品が不良となりスクラップとなる事が
ある。
これは、処理液が局部的に消耗するため起こる現象である
から、部品の数量を減らすか、溶液の切り替えを改良する
ことで解決することが出来る。
また、重クロム酸ナトリウムの濃度を4〜6%に増加しても
この状況は緩和する。
440合金ステンレスには、硝酸ー重クロム酸ナトリウムの
浴中で3〜4Vの電圧で陽極処理するのが最良の方法で
ある。
参考文献 表面処理対策Q&A1000
産業技術サービスセンター
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