パシペートとは?
ステンレス素材に行う処理になります。
防錆が一番の目的となります。
ステンレスは錆びにくい材質、と一般的には知られて
ますが表面に酸化皮膜が自然に形成されることにより、
地金まで酸化が及ばないことが、ステンレスが錆びにく
い理由です。
この酸化皮膜は酸化鉄ではなく、ステンレス中のクロムと
酸素が結合した酸化クロムになります。
ただし、この皮膜は非常に薄く(20Å前後)、外的要因に
より欠損ができやすいので、その場所から錆びが発生する
ことがあります。
この酸化皮膜を硝酸系の酸化剤により人為的に厚くする
ことで、防錆性能を向上させるのがパシペート処理になり
ます。
硬質クロムめっきなどと異なり、この処理は地金の表面を
変化させる処理であるため、寸法変化が少ないという特徴
を持っております。
また、この金属表面上の酸化皮膜を「不動態皮膜」と呼び
ます。
別名:不動態化処理とも呼ばれます。
ステンレス材でも分類が有りますのでオーステナイト系
(303,304,316など)を使用すれば処理をしなくて済ます。
重クロム酸カリウム溶液や硫化ナトリウム溶液に浸漬
するだけでもステンレスの不動態化処理は、濃硝酸に室
温で、30分程度浸漬して、簡単に出来ます。
また、アルカリ溶液(硫化ナトリウム溶液)、重クロム
酸溶液(重クロム酸カリウム溶液)などの液中で、陽極
電解する方法もあります。 要は、酸化膜を構成させるも
のです。
目的は、化学反応性をなくするために行われるもので、
用途には、反応釜の内面処理、ステンレス製無電解めっ
き槽の析出防止、耐食性の向上用途、原子力部品などに
用いられます。電鋳メッキでSUS母型に不動態化処理
を行うのは、その上にメッキを付けて、メッキ終了後に
母型からメッキ皮膜を離型をするために行います。
SUSはクロム合金ですので、自然に不動態になってい
て処理する必要はないのですが、何回か使っていると剥
がせなくなってくることがありますので、念のために行
います。
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