亜鉛ダイカストへの銅-ニッケルークロムメッキをすると膨れが発生するのは?
下記にて文献からの抜粋した内容を記載します。
亜鉛ダイカストは、複雑で寸法精度や機械的性質に優れ
た素材として用途が広く、メッキ加工は錠前や家電部品
玩具などに防食および金属光沢あるいは梨地状の外観な
ど装飾的な目的で施されている例が多い。
ダイカストは鋳物の一種でメッキ素材としては表面の欠陥
が多くメッキトラブルの多い素材である。
亜鉛ダイカストのメッキは多層メッキであるため、まず、
素地とメッキの間か、メッキ間での膨れかを確認する。
メッキ間であれば、メッキ工程の問題となるが、一般に
は素地とメッキ間での膨れが圧倒的に多い。
原因の調査には、まず、膨れが発生した状況を調査する
ことが重要である。
①発生率はどのくらいか?
②品物の全体に発生しているか?
③ある特定部分に集中して発生していないか?
④研磨・非研磨部分ではどうか?
次に、膨れの部分の表面、断面、膨れた部分のメッキ箔
の裏面の状態、膨れた部分の素地の表面状態(巣、湯じ
わ)、膨れた部分を中心に断面顕微鏡観察などを行う
ことで、大まかな原因の傾向が推測出来る。
膨れのトラブルの事例から、よく起こりがちな膨れの
原因を以下に示す。
①全体的に膨れが分散して発生している場合。
●メッキ前処理の不備、ストライク銅メッキ液組成の
問題。
②ある特定部分に集中して発生している場合。
●素地の欠陥(巣、湯じわ)が原因。(素地欠陥をメッキ
で補修出来なく処理液が残留し、後にメッキ皮膜を持ち
上げて膨れが生じる)。
③膨れた部分のメッキ箔の裏面に亜鉛が付着し、且つ、
素地に巣が観察された場合。
●素地の巣が原因。巣が無い場合は、研磨により研磨され
た亜鉛が素地に残る。又は、湯じわが原因。
④非研磨面に発生し、バフ研磨面に発生していない場合。
●素材の欠陥を研磨により潰している。
⑤非研磨面に無く、バフ研磨面のみに発生している場合。
●③と同様。
亜鉛ダイカストの膨れトラブルは、素地欠陥をメッキで
補修することが可能な場合もあり、素材側とメッキ側の
両面からメッキトラブルの防止対策を進める必要がある。
参考文献 表面処理対策Q&A1000
産業技術サービスセンター
クロムメッキのページはこちらから
お問合せのページはこちらから
〒918-8063 福井県福井市大瀬町5-30-1
営業時間:午前8:30~12:00/午後13:00~17:00