テフロン無電解ニッケルメッキは、無電解ニッケル処理液の中にテフロン微粒子(PTFE)を均一に分散させ、無電解ニッケルメッキとともに共析させ、皮膜を生成する処理のことです。無電解ニッケルメッキによって得られる効果に加え、摺動性や離型性、耐摩耗性の向上が期待できる三和メッキ工業オリジナルの技術です。
目次
テフロン無電解ニッケルメッキは、無電解ニッケルメッキを行う際に使用するメッキ液にテフロン微粒子(PTFE)を加えることで、ニッケルと共析させていくメッキの方法です。無電解ニッケルメッキのメッキ皮膜には、リンが含有していますが、そこにテフロンが加わることで、皮膜が摩耗しても摺動性が劣らないという特徴が得られます。
もともと無電解ニッケルの原理は、
硫酸ニッケルおよび次亜リン酸ナトリウム、pH緩衝材、錯化剤、安定化剤等で構成されるメッキ液に対象物を浸し、液中での還元反応を利用することで対象物表面にリンを含んだ金属皮膜を析出させる
というものでした。この無電解ニッケルメッキを行う際に、同じ液中にテフロン微粒子(PTFE)を分散させてか無電解メッキしていくため、テフロンを含んだニッケルリンの皮膜が析出されるという原理になっています。
テフロン無電解ニッケルメッキのメリットは次の7つです。
一方、テフロン無電解ニッケルメッキのデメリットは次の3つです。
組成 | ニッケル | 83〜90wt% |
---|---|---|
リン | 7〜8wt% | |
テフロン | 33%wt | |
結晶構造 | 非晶質 | |
硬度 | Hv200~250 | |
面粗さ | Ra:0~6.0、Rz:0~21 | |
静摩擦係数 | 0.13µ | |
動摩擦係数 | 0.12µ | |
接触角 | 110° | |
密度 | 6.6g/㎤ |
基本的に金属ニッケルは、塩酸・硫酸・硝酸に溶けます。
下記にて他の試薬に関する耐薬品性を記載します。
試薬 | 温度(℃) | 腐食率(㎛/年) |
---|---|---|
アセトアルデヒド | 65.6 | 0.5 |
アセトン | 室温 | 0.076 |
アクリロニトリル | 65.6 | 0.4 |
硫化アンモニウム | 48.9 | 3.8 |
酢酸イソペンチル | 室温 | 0.048 |
塩化イソペンチル | 室温 | 0.33 |
ビール | 7.2 | 0.2 |
ベンゼン | 室温 | 0.04 |
酢酸ベンジル | 室温 | 0 |
ベンジンアルコール | 室温 | 0.092 |
48.5%塩化カルシウム | 室温 | 0.5 |
カプロラクタム | 85 | 0.76 |
カプリル酸 | 65.6 | 1.52 |
硫化炭素 | 室温 | 0 |
四塩化炭素 | 室温 | 0 |
5%洗剤 | 室温 | 0.94 |
エチルアルコール | 室温 | 0.16 |
エチルグリコール | 室温 | 0.64 |
37%ホルムアルデヒド | 室温 | 0.34 |
ガソリン | 室温 | 0.56 |
80%乳酸 | 室温 | 3.7 |
メチルアルコール | 室温 | 0 |
ナフサ | 室温 | 0 |
ナフタル酸 | 65.6 | 0.5 |
オレイン酸 | 室温 | 0.3 |
オレンジジュース | 室温 | 0.33 |
テトラクロロエチエン | 65.6 | 3.8 |
石油 | 室温 | 0 |
ポリ酢酸ビニル | 98.9 | 1.27 |
ロジン | 室温 | 0 |
10%炭酸ナトリウム | 室温 | 0 |
3%塩化ナトリウム | 室温 | 1 |
50%水酸化ナトリウム | 121.1 | 0 |
ソルビトール | 65.6 | 2.5 |
ステアリン酸 | 70 | 0.5 |
砂糖水 | 室温 | 0 |
蒸留水 | 室温 | 0.74 |
25%尿素溶液 | 室温 | 0 |
テフロン無電解ニッケルメッキの用途は、主に摺動性が求められるような金型部品や自動車部品の他、光学系部品やギア、カム部品などに適しています。
PTFE Nip、無電解ニッケルテフロン、テフロンメッキ、二ムフロン、カニフロン
754 耐摩耗性 | 2003 錯化剤 |
8018 ピンホール | 147 腐食 |
メッキ | plating |
---|---|
無電解ニッケル | electroless nickel |
テフロン | Teflon |
摺動性 | Sliding property |
離型性 | Releasability |
耐摩耗性 | Wear resistance |
ニッケル | nickel |
リン | Rin |
硫酸ニッケル | nickel sulfate |
次亜リン酸ナトリウム | sodium hypophosphite |
pH緩衝材 | pH buffer |
錯化剤 | complexing agent |
安定化剤 | stabilizer |
還元反応 | reduction reaction |
潤滑性 | lubricity |
接触角 | contact angle |
撥水性 | water repellency |
かじり | Biting |
析出 | Precipitation |
無電解ニッケルメッキのメッキ液中にテフロン(PTFE )を均等に分散させることで共析させるテフロン無電解ニッケルメッキは、他社にはない三和メッキ工業株式会社オリジナル技術となります。析出されるメッキ皮膜は、緻密で精度がよく、滑り性や摺動性が高いため滑り性や摺動性を求める部品には最適なメッキ処理です。
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