錆びることがないイメージがあるステンレスですが容易に錆びてしまいます。
錆びないようにする方法として、めっきすることも選択肢の1つですが、最適な防錆処理である不動態化処理(パシペート処理)について解説をします。
目次
不動態化処理(パシペート処理)をする目的としては、ステンレスに含まれるクロムと酸素が結合し塩素イオンが発生することで、不動態化皮膜が出来てしまいます。
この皮膜により、局所的にステンレス素材が破壊され、脱落、酸化を繰り返し、錆びが発生いたします。この化学反応性を人工的に無くすことにより、耐食性、剥離性を向上させることのが不動態化処理(パシペート処理)なのです。
金属表面の腐食作用に抵抗する酸化皮膜ができ、内部の金属を酸や溶液にさらされても溶解しないように保護する状態のことです。
表面の金属分が酸素と結合することよって出来る緻密な皮膜のことで、腐食(錆び)からの保護作用がある皮膜のことです。
皮膜は溶液や酸にさらされても溶け出すことが無いため、内部の金属を腐食から保護するために用いられます。
不動態化処理(パシペート処理)の特徴は
不動態化処理(パシペート処理) | Passivation treatment |
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不動態 | Passivation |
不動態皮膜 | Passivation film |
不動態化処理(パシペート処理)が必要な代表的な金属にステンレスがあります。
ステンレスは鉄を50%以上としクロムを10.5%以上含んでいるために錆びにくいです。
クロムは鉄よりも酸素に結び付きやすい特性から、鉄が酸化するよりも先にクロムが酸化し、酸化皮膜となって表面を覆い傷がついても直ぐに再生するこの膜のおかげで、錆の発生を防ぎます。
表面に酸化皮膜が自然に形成されることにより素材まで酸化が及ばないことがステンレスを錆びにくい理由です。
マルテンサイト系は、SUS403、SUS410のことで磁性があり焼入れで硬化し炭化クロムや窒化クロムに変化するので酸化皮膜が十分出来ず、腐食する。
フェライト系は、SUS430のことで磁性があり熱処理でも硬化せず、マルテンサイト系よりも耐食性は良い。
オーステナイト系は、SUS316、SUS304のことで磁性がなく熱処理でもの硬化せず、高い耐食性がある。
この特性から考えると、マルテンサイト系には、不働態化処理は必要であり、高い耐食性を求めるのであれば、オーステナイト系にも不働態化処理をするのがお勧めです。
ステンレスいう金属は錆びに強く錆びないというイメージが強いです。
しかし、もらい錆びや塩水の雰囲気には弱いので不動態化処理(パシペート処理)を行い、薄膜で耐食性の強いステンレスを作ることが大事だということが解ります。
また、ステンレスにも色々な種類があり不動態化処理(パシペート処理)をしても耐食性が上がらない場合があるので材料の面からも検討する必要があります。
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