アロジン処理(アルミウム化成処理)
アロジン処理(アルミニウム化成処理)とは、アルミニウム合金への防錆処理でリン酸、クロム酸を主成分とする処理液を用いてアルミニウム表面にクロメート処理(化成処理)を行う処理のことです。アルミ二ウム材料の表面に酸化皮膜を形成するアルマイト加工(処理)と異なり耐食性の向上、密着性の向上、導電性を付与できる処理となります。
アロジン処理(アルミニウム化成処理)の特徴
アロジン処理(アルミニウム化成処理)の特徴は全部で4つあります。
- ・耐食性がよい
- クロメート処理をすることで得られる皮膜は自己修復性を持った酸化皮膜ですので耐食性を上げることができます。
- ・皮膜が薄い
- 膜厚が0.1〜0.3μmと薄い防錆皮膜をつくることができます。
- ・導電性を付与できる
- アルマイト加工(処理)と異なり、不動態化膜を形成しないので導電性を持つのが特徴です。
- ・塗装の下地に適している
- クロメート処理をすることにより、表面に酸化皮膜ができ、アンカー効果を得ることで塗装ののりを良くします。
アロジン処理(アルミニウム化成処理)のメリット
アロジン処理(アルミニウム化成処理)にはアルマイト加工(処理)と比較して以下のメリットがあります。
- ・形状に制限がなく複雑な形状でも均一に処理ができる
- 形状に制限がないとどんなメリットがあるかというと、例えば対象物が複雑な形状をしていたとしても、均一に処理ができることです。
- ・安価に処理ができる
- 電解処理のプロセスがなく浸漬処理のため安価に処理することができます。
また処理時間が短いことがあげられます。
- ・薄い膜厚で耐食性を付与できる
- MILスペック対応のアロジン処理(アルミニウム化成処理)はMIL-DTL-5541 TypeI (MIL-C-5541)
Class1A、Class3が該当し、168時間の塩水噴霧試験による耐食性評価をクリアしています。
アロジン処理(アルミニウム化成処理)のデメリット
アロジン処理(アルミニウム化成処理)のデメリットは以下の通りです。
- ・皮膜が柔らかく硬度がないので傷がつきやすい
- 皮膜硬度がHv120程度と低い為、傷がつきやすくなります。
- ・酸性やアルカリ性の雰囲気で皮膜が溶解する
- クロメート処理なので酸性やアルカリ性の環境で容易に皮膜が溶解します。
アロジン処理(アルミニウム化成処理)の工程
一般的なアロジン処理(アルミニウム化成処理)の工程について解説します。
一般的なアロジン処理(アルミニウム化成処理)の工程について解説します。
- 1.脱脂
- 最初に製品についている汚れを完全に除去するために脱脂を行う。
- 2.表面調整
- アロジン処理が良好に処理出来るようにする。
- 3.アロジン処理(アルミニウム化成処理)
- 製品を処理液に浸漬させる。
- 4.乾燥
- 水洗いをして乾燥させ仕上げる。
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- アロジン処理(アルミウム化成処理)
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アロジン処理(アルミニウム化成処理)の用途
航空機の部品、自動車部品、熱交換器、建材関係、電機部品、アルミニウム合金全般
アロジン処理(アルミニウム化成処理)の事例
-
- 【事例1】素材:A5052
- 自動車部品へアロジン処理をし、耐食性を付与
-
- 【事例2】素材:A7075
- 電機機械部品にアロジン処理をし、導電性を付与
その他の呼び方
アロジン1000、アロジン1200、アルサーフ、無色アロジン、、アルミニウムの無色クロメート、有色アロジン 、アルミニウムの有色クロメート、イリダイト処理、アルクロム処理
アロジン処理(アルミニウム化成処理)に関連する英語表記
アロジン処理(アルミニウム化成処理)のJIS(専門用語)
アロジン処理(アルミニウム化成処理)のまとめ
アルミニウムは傷がつきやすく錆びやすい特徴があります。その傷が原因で化学反応が起き製品が腐食することがあります。その傷を修復し腐食を防止するためにアロジン処理が利用されています。アロジン処理は比較的手間がかからないので利用しやすい処理となります。
- [1]島倉俊明:アルミニウムの化成処理技術と変遷と動向 2010年61巻3号
この記事の解説者
三和メッキ工業株式会社
代表取締役社長 清水栄次
全国めっき技術コンクールにおいて厚生労働大臣賞、金賞など数多く受賞。めっき業界において始めてIS09001,14001,27001を独自で構築。その中から、めっき特許、並びに独自の技術を商標化。インターネットにて380001以上の取引実績。
めっきセカンドオピニオンによる他社のめっき不良を年間100件解決。
- 2014年 神戸大学大学院経営学研究科 非常勤講師
- 2020年 三重大学 非常勤講師
アルミニウム化成処理(アロジン処理)に関するめっきQ&A