着色アルマイト処理(カラーアルマイト)は、アルマイト処理後に表面にできる孔(ポア)に染料を吸着させることで着色する処理のことです。カラーバリエーションが豊富にできるため、意匠性などを高めることが可能です。
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着色アルマイト処理(カラーアルマイト)は、通常のアルマイト処理を行った後の酸化皮膜表面にできる孔(ポア)に染料を吸着させることで着色していく方法です。着色を行う際、染料の濃度や温度、染色時間などによって染料の吸着量が異なります。この吸着量の違いを活かすことで、染料の濃淡に変化が生じ、カラーバリエーションが増えることになります。
着色アルマイト処理(カラーアルマイト)の原理は、次の図のようなイメージです。
通常のアルマイト処理によって表面に酸化皮膜が生成され、セルと呼ばれる立体構造の皮膜が形成されます。この時、アルマイト処理の生成した酸化皮膜には、直径10~20nmの孔が発生しますが、着色アルマイト処理(カラーアルマイト)では、この孔(ポア)に染料を浸透させ、吸着させてから封孔処理を行っていきます。
アルマイト処理の皮膜構造は、以下のようなハニカム構造です。
着色アルマイト処理(カラーアルマイト)のメリットは次の3つです。
一方、着色アルマイト処理(カラーアルマイト)のデメリットは次の3つです。
着色アルマイト処理(カラーアルマイト)の用途はさまざまですが、主に使われているのは、工業分野で半導体製造装置の部品や光学部品などがあります。そのほか商業分野では、医療機器、照明機器、キャンプ用品へ広く採用されています。
着色アルマイト処理 | colored anodized aluminum |
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アルマイト処理 | anodized aluminum |
ポア(孔) | hole |
酸化皮膜 | oxide film |
染料 | dye |
セル | cell |
封孔処理 | Sealing treatment |
放熱性 | heat dissipation |
絶縁皮膜 | insulating film |
着色アルマイト処理(カラーアルマイト)は、無色のアルミニウムに豊富なカラーバリエーションを付与することで、さまざまな分野の商材の装飾性や意匠性を高められるのが一番の特徴です。他にも光学部品などの反射防止を目的としたりと、さまざまな分野での活用が期待できる処理になります。