リューブライト処理は同じ化成処理の1つである黒染メッキ(処理)よりも錆びにくく、亜鉛メッキのクロメート処理と同等の耐食性を持っているため鋳物の材質に適しています。また、耐摩耗性に優れ、塗装の下地処理としても使用されています
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リューブライト処理の特徴は大きく分けて4つあり「耐食性が高い」「硬度が高い」「破壊電圧が高い」「絶縁皮膜である」という特徴を持っています。
防錆油を吸収しやすく保油性に優れているため、黒染メッキ(処理)よりも防錆効果があり、腐食を防止できます。
モース硬度が5〜6で、ダイヤモンドの半分ほどの硬度があるため、傷がつきにくく耐摩耗性が向上します。
破壊電圧とは、定められた方法で皮膜に電圧を加えた時に皮膜が破壊される最小の電圧のことをいいます。リューブライト処理をした場合の破壊電圧は、厚膜状態で170〜280V、薄膜状態で140〜220Vとなります。
厚膜状態で電気抵抗率は12,300Ω/cm2、薄膜状態での電気抵抗率は2,960Ω/cm2、というふうに、リューブライト処理をすることで絶縁皮膜になって電気を通しにくくなります。
リューブライト処理のメリットを解説します。
リューブライト処理のデメリットを解説します。
リューブライト処理は、さまざまな用途で使われています。
具体的な用途としては、自動車部品のピストンやカムシャフト、産業機械やロボット部品、治工具、などがあります。
5006 クロメート処理 | 753 耐食性 |
754 耐摩耗性 | 2004 酸化剤 |
リューブライト処理 | luubrite treatment |
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黒染メッキ(処理) | black oxide plating |
亜鉛メッキ | galvanized |
耐食性 | Corrosion resistance |
耐摩耗性 | Wear resistance |
リン酸マンガン皮膜処理 | Phosphating |
リン酸塩処理 | Phosphating |
破壊電圧 | breakdown voltage |
モース硬度 | Mohs hardness |
絶縁皮膜 | insulating film |
電気抵抗 | electrical resistance |
潤滑性 | lubricity |
かじり現象 | galling phenomenon |
アンカー効果 | anchor effect |
ピンホール | Pinhole |
リューブライト処理は、次のようなケースに利用されています。
本記事で解説したように、リューブライト処理は同じ化成処理の1つである黒染メッキ(処理)よりも耐食性がよく、塗装の下地処理として最適です。また、その性質から、剥がれにくい塗装や防錆効果が必要な自動車部品やさまざまな産業機械などにも活用されています。
鉄系の金属や鋳物に化成処理を行う場合には、リューブライト処理を検討してみてはいかがでしょうか。
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