黒染メッキ(処理)は、化成処理の1つで、鉄の表面に化学変化(化学反応)を起こしアルカリ処理することで黒く染め、黒錆と呼ばれる四三酸化鉄の酸化皮膜を作ることで表面をメッキする方法です。黒染メッキ(処理)がよく用いられるのは、寸法精度を維持したい部品や価格を安くしたい部品などで、金属材料の表面を保護するだけでなく、装飾目的や吸光特性を向上させるためにも使われています。
目次
黒染メッキ(処理)は、アルカリ性の水溶液の中に対象物を浸して化学変化を起こし、素材となる金属の表面に黒錆と呼ばれる四三酸化鉄の酸化皮膜を生成していきます。処理後はメッキにより黒くなりますので、黒染めしたように思われますがそうではなく、金属の表面に黒錆を生成させています。後述しますが、黒染メッキ(処理)は、生成される皮膜の膜厚がそれほど厚くないため、耐食性や強度には欠けてしまいますが、メッキによる寸法の変化が少ないことが特徴です。そのため、素材の寸法を変えたくない物に対する処理にはとても適しています。単純にいえば、あえて表面を錆びさせることでそれ以上錆を進行させないような処理ということになります。
黒染メッキ(処理)の原理は、次の図のようなイメージです。
鉄の表面に化学変化を起こし、黒錆と呼ばれる酸化皮膜で表面を覆うという原理になっています。
黒染メッキ(処理)は、さまざまな呼び方があり、「四三酸化鉄処理」「BK」「フェルマイト」「SOB」「アルカリ黒色処理」などがあります。中でも「四三酸化鉄」というのはわかりにくいのですが、酸素と鉄の割合を示す用語で、酸素4:鉄3の割合になっているという意味があります。
黒染メッキ(処理)の特徴を挙げると、次のようなものがあります。
黒染メッキ(処理)は、耐食性のある薄い皮膜が生成されるため、寸法精度が重要な部品等に向いています。また、光沢のある黒色皮膜が作れることから、外観の美しさや反射防止などを求めたい場合にも適しています。
黒染メッキ(処理)のメリットは次の4つです。
黒染メッキ(処理)のデメリットは次の3つです。
工作機械、産業機械に薄い皮膜で黒色に処理したい部品や耐食性が必要な部品、耐熱性が必要な部品に適しています。
黒染メッキ(処理) | black oxide treatment |
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化成処理 | Chemical conversion treatment |
アルカリ処理 | alkali treatment |
四三酸化鉄 | triiron tetraoxide |
酸化皮膜 | oxide film |
メッキ | plating |
吸光 | absorption |
アルカリ性 | alkalinity |
耐食性 | Corrosion resistance |
耐摩耗性 | Wear resistance |
潤滑性 | lubricity |
耐熱性 | Heat-resistant |
防錆剤 | anti-rust |
黒染メッキ(処理)は、大量にメッキ処理することが可能なことから、安価に処理ができます。黒染メッキ(処理)を行ったものは、寸法精度が維持できるので寸法狂いが少なく、かつ耐食性に優れているため機械部品など様々な場面で活用できます。また、弊社では黒染処理液を自社内で開発したものを使用しているため、他社の黒染処理と比較すると 非常に光沢が高い皮膜に仕上げることが可能です。
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