メッキQ&A
下記にて文献からの抜粋した内容を記載します。
不純物の入らない純粋な酸化アルミニウムは優れた絶縁
体である。純度の高いAL素地上に化成したアルマイト皮
膜も絶縁体に近い特性をもち、比抵抗は1012〜1014
Ω・cm程度でよい絶縁性を示し、皮膜を厚くすること、
封孔処理することにより向上する。この特性により絶縁
を必要とする電子部品などに多く使用されている。
一方アース特性、電磁波シールド対策などから電導性を
必要とする電子部品もある。このようなことから、防食
性、耐久性、導電性などの特性を備えたアルマイト皮膜
を生成することが要求される。
本来、絶縁性を低くし、導電性を付与する方法として
次のようなものがある。
①皮膜の耐食性、耐久性などの要求が厳しくなく、皮膜
厚さが薄くてもよい場合で、皮膜が不連続となる絶縁性
の低い皮膜を化成し、導通皮膜を得る方法である。
2〜5μm程度の薄い皮膜は欠陥が多く、不連続となりや
すい。不連続となりやすいAL合金の使用、あるいはAL
素材をあらかじめ粗面化した皮膜は導通がよくなる。
しかし、一定の電導性をもった皮膜とするのは難しい。
②局部的に導通を必要とするもののみ適用する場合で、
導通を必要とする部分をあらかじめ絶縁材でマスキング
し、皮膜を生成させないか、または皮膜化成後、部分的
に機械的あるいは化学的に皮膜を除去する方法などが
ある。この方法は部分的にある面積AL素地が露出する
ので利用は限定される。
③アルマイト皮膜はAL素地に向かって垂直な微細孔をも
ったセルの集合体である。この微細孔を利用してAL上に
電気めっきをすることもできるし、二次電解着色を行う
こともできる。AL上のめっきと同じように、微細孔の
底に存在するバリアー層を破壊、溶解または薄くして
負電圧を印加し、金属を析出させ、皮膜の表面まで孔中
に金属を充填させれば導通アルマイトを得ることができ
る。孔中に金属を析出させる場合、普通のめっき比べ
高電圧にするとスポーリングが起こるので注意が必要で
ある。
この方法は皮膜化成条件に微細孔の大きさの調整、ポア
ワイドニング、めっきする金属の選択などによって要求
される導電性を皮膜に付与することが他の方法に比較
して容易である。硫酸皮膜ニッケルめっきを施した
導電性皮膜は鉄鋼上のニッケルめっきと同等と言われて
いる。
参考文献 表面処理対策Q&A1000
産業技術サービスセンター