メッキQ&A
アルマイトされました皮膜の放熱性については、いろんな
要因がありまして、向上しないと思われます。
黒アルマイトをすることにより放熱性は向上すると思います。
以下は補足の文献上の内容です。
ヒートシンクから輻射によって放熱する場合、その放熱量は
その表面の状態によって決まります。輻射率といいます。
輻射率が大きいものは輻射による熱を吸収しやすく、かつ放出
しやすい性質があります。
アルミそのもののように表面がぴかぴかのものは光を反射しやすく
輻射率が低いものです。
よってヒートシンクに加工した場合、その表面からの輻射による
放熱は小さくなります。
アルマイトを行うことにより、表面状態が変わりつや消しになると
輻射率が上がります。
よってアルマイトは輻射による放熱量をあげる効果があります。
厳密に言えば、アルマイトを黒にすると放熱性はあがります。
ただし表面状態にくらべ色相が輻射率に与える影響は一般に小さいです。
「放熱効果は変わらない」というのは「実用上は問題となる差ではない」
ということになると思います。
黒色と無色の差は、ヒートシンクの周辺に風の流れがほとんどない場合
には出てきます。
ただしヒートシンクの主な放熱効果は輻射ではなく空気への熱伝導
なので強制冷却状態にある場合は色相の影響はほとんど無視できます。
こうなれば「放熱効果は変わらない」あと黒にするとマイナスになる
場合もあります。
それはそのヒートシンクの近くに別の強い熱源がある場合です。
輻射率が大きいことイコール周辺の輻射熱を拾いやすいという
性質でもありますので、かえって悪くなる場合もあります。
どっちを選ぶからケースバイケースですが、特にほとんど風のない
空間で使うという用途でもない限りは安価な無色を使うことが多い
ようです。